-人生-EPISODE.2

難病患者の初めての挑戦

学生時代から始まった、私の難病人生

学生時代といえば、
誰もが“青春”を思い浮かべるかもしれません。

けれど、私の記憶にそのような思い出はなく、
代わりに色濃く残っているのは、病院のベッドと入院生活でした。

――それでもこの時期は、
人生で初めて“ひとつの挑戦”をやり遂げた、
かけがえのない時間でもありました。

闘病の中に芽生えた意志

入院生活の中で、私は自己啓発の書籍を読みあさっていました。

「病気には、絶対に負けたくない」――

その一心で、心を支えていたのだと思います。

一方で、入院中は授業も受けられません。
学びを止めたくなかった私は、ベッドの上で教科書を読み、独学を始めました。

 

頭に浮かんだ、ひとつの無謀な目標

ある日、ふと脳裏に浮かんだのが、
『独学で国立大学に挑戦する』という目標でした。

通っていた高校の国公立大学進学率は、極めて低く、
周囲からは「ありえない」と言われてもおかしくない選択でした。

それでも私は、合格そのものが目的ではなく、
“自分の力で、どこまで通用するか”を試してみたかったのです。

わからなくても、ひたすらに学ぶ日々

塾に通うこともなく、勉強法も知らない私は、
1日10時間以上、ただひたすら教科書を読んで覚える日々を過ごしました。

でも、少しずつ理解が進むにつれ、
勉強が楽しくなっていく自分がいました。

やがて、通っていた高校では学年主席に。
同級生に勉強を教えることも増え、そこにもやりがいを感じていました。

 

努力の末に得た“合格”と、思わぬ気づき

最終的に、志望していた国立大学には「推薦入学」で合格。

ですが私は、「試験も受けて、自分の力を試したい」と申し出ました。

結果は、不合格。

やれるだけの努力はしたけれど、
“結果”がついてこないこともあるのだと、私は初めて実感しました。

このとき、学習塾などの“環境”の大切さや、
「経験者から学ぶこと」の意義を強く感じたのです。
 

 

同じ目線で寄り添うサポート

この経験は後に、私の支援スタイルの原点になります。

私は「難病サポート事業」を、
“病気”ではなく“人生”を軸に据えて支援する仕組みとして立ち上げました。

世間的な“先生”や“講師”ではなく、
同じ難病経験者だからこそ寄り添える視点を大切にしています。

そして、人生は次のステージへ

試験には落ちたけれど、志望校への進学は叶いました。

これから“楽しいキャンパスライフ”が待っている――
そう思った矢先、人生はまた新たな波乱を迎えます。

――― EPISODE.3へつづく ―――