-人生-EPISODE.4

ありのままを生きる難病患者

難病が奪った、あたりまえの大学生活

「好きなことを学べるって、本当に素晴らしい」

大学では、自由に講義を選べる一方、
定められた単位を取得しなければ進級できません。

けれども私は、 前回のエピソードでもお伝えしたように、 大学生活を楽しみすぎたあまり、 身体がついてこられなくなってしまっていました。

ある日、ただの風邪をこじらせたことで、 炎症反応が一気に悪化。

それが引き金となり、 難病そのものの進行を加速させてしまったのです。

人生初の開腹手術

「内科的な治療ではもう難しいかもしれません」

担当医の言葉に、 私の胸はざわつきました。

腸管は線維化し、狭窄(きょうさく)状態。
食べ物が詰まり、命の危険もあるとのことで、 大腸の半分を摘出する開腹手術が決まりました。

手術後はしばらく絶食。 点滴での栄養補給が続きました。

入院中は大学の講義にも出席できず、
当然、試験にも間に合わず、 単位を落として“留年”が確定してしまいました。

色彩学との出会い

講義を諦めた私は、 ベッドの上で、専攻とはまったく異なる 「色彩学」の本を読み始めます。

なぜだかその分野に惹かれたのです。

退屈な入院生活の中で、 “社会に出て働く”ことへの憧れが芽生えました。

「働くことで社会貢献したい!」

そんな気持ちが少しずつ、 未来への希望をつないでいきました。

できないことは、できない

退院後は、また大学に復帰。
でも、ハンディがある身体では、 出席を続けるのも一苦労です。

講義を休まざるを得ないことも多く、 試験を受けられずに悩んだ時期もありました。

先生方に呼び出され、 「もっとがんばりなさい」と叱られる日々。

でも、心のなかではこう思っていました。

「先生……できないものは、できないんです」

 

正直に生きた結果、救われた

そんな中、転機が訪れます。

ある先生が私の状況を理解し、 単位認定について配慮してくださったのです。

その結果、 本来なら不合格だったはずの単位が、 審議を経て“認定”されました。

ああ、人生にはこういう救いもあるんだ――

できない自分を偽らず、 正直に向き合ってきたからこそ 得られた“信頼”と“ご縁”でした。

 

ご縁が道を拓く

どれだけ努力しても、 評価されないことはあります。

でも、あなたのがんばりを ちゃんと見ている人は、必ずどこかにいます。

そんな存在との出会いこそが、 あなたの人生に“ご縁”として訪れるのです。

私がいま提供している「難病サポート」も、 そうしたご縁の連なりから生まれたものでした。

環境が人を作り、 人がまた環境を変えていく。

それは、難病という困難に向き合ううえで、 とても大切な視点なのです。

サポートとは、“人と人の縁”

難病を抱えた方が 自分らしく人生を歩むには、 どうしても“他人の力”が必要な場面があります。

そんなときに、 そっと支えになれる存在がいる。

それだけで、人は前に進めるのです。

だから私は、 “人生”を軸にサポートを行っています。

病気をどうにかしようとするのではなく、 あなたが自分自身を取り戻すために。

そして、次のステージへ

半年以上の入院生活を経て、
私はなんとか大学を卒業することができました。

さて、ここから社会という新たな舞台へ。

難病を抱えた私が、 果たして社会人として生きていけるのか?

――― EPISODE.5へつづく ―――