難病に学ぶ医療ゲノムの倫理
遺伝子に足を踏み入れた人類
※ヒトゲノムについては
STEP.7でお伝えしましたので
よく分からない方は
まずそちらをご覧ください。
今回は、
ヒトの根源にせまる医療の在り方
についてお伝えしていきます。
ヒトの体は同じようにみえて
それぞれ少しずつ違うのが
見て取れます。
そっくりな親子がいるように
遺伝子はヒトの体をつくるための
設計図のようなものといえます。
約40億年前、
地球上に初めて生命が誕生し
今日のヒトの存在にまで繋がり、
遺伝子が脈々と受け継がれて
いるとすれば、
壮大なストーリーであると
感慨深いものがあります。
そして、
ついに遺伝子の領域にまで
足を踏み入れた人類は、
これからどのような未来を
描くのでしょうか。
ヒトの根源に迫る医療
ヒトゲノムを扱うにあたって
課題となっているのは
“倫理的”な配慮です。
生命倫理委員会により策定された
「ヒトゲノム研究に関する基本原則」
でも、
『倫理的にどこまで
どのように許されるのかが問題』
という文言が序文にあり、
その扱いには慎重さを要すると
されています。
具体的には
・ヒトゲノム研究の在り方
・研究試料提供者の権利
・ヒトゲノム研究の基本的実施要件
・社会との関係
という4項目について策定され、
社会における価値の揺らぎを生じさせる
可能性があることを示唆しています。
それほどデリケートな領域ということです。
ヒトゲノム研究が
個人の権利を侵害するものであっては
ならないことはもちろんですが、
ヒトの体に不調和をもたらすものであっても
ならないことは言うまでもありません。
“良い”と評されることに
“悪い”ものが両隣となっているのは
自然哲学でいわれる陰陽の考え方です。
遺伝子をめぐる議論はつづく
近年話題となっている
“ワクチン”を例にお話しします。
新型コロナウイルスのワクチン接種が
世界的に展開された際に、
「遺伝子組み換え技術が使われており、
ワクチン接種により遺伝子(染色体)
に変化を生じさせる。」
という情報が出回りました。
真偽のほどは判りかねますが、
厚生労働省からは、
「ワクチンで注射するmRNAは短期間で
分解されていきます。人の遺伝情報(DNA)
に組みこまれるものではありません。」
と解説し、
誤情報として回答されています。
その他に、
・体への影響
・臨床試験
・動物実験
などについても言及されています。
(出典:厚生労働省
「新型コロナワクチン(mRNAワクチン)
注意が必要な誤情報」)
ワクチンの情報は誤情報も含めて
さまざまな論議が続いています。
その双方も医学的見地により
正当性を訴えていますが、
いまだベールに包まれています。

本当に遺伝子操作は適切か
STEP.1でお伝えしましたが
難病というものが認識されるように
なったのはまだ半世紀前の話です。
現在は感染症として認識されているものも
19世紀までは“瘴気”という「悪い空気」が
もたらすものと考えられていました。
その時では定説と言われていても
科学が発展したり人の認識が変われば
まったく異なる見え方になってきます。
ヒトゲノム研究の行く末に
何が待っているのか・・・
予測はできたとしても
いまは知る由もありません。
ただ一つ言えることは、
ヒトの遺伝子という領域は
慎重かつ冷静な判断で向かい合う
必要があるということです。
遺伝子を操作することで病気が治る
という情報が出たとしても、
深いところで偏りない判断をしていく
ことが大事だとお伝えしておきます。
いかがでしたでしょうか?
現代医学は遂に人の遺伝子領域に
突入していきます。
今までは体を診ていたものが
体の根源に直接介入できる
領域に到達したということです。
このまま医学の未来は
どこへ向かうのでしょうか。
次回STEP.9は
『遺伝子から見た難病のの未来』
をテーマにお話しします。
今回のお話は以上です。
最後までお付き合いいただき
誠にありがとうございました!