医学・医療 STEP.7

難病への氣の持ち方

遺伝的に発症する難病の存在

世代で引き継がれる病気

病院に初めてかかったとき、
問診票の記入を求められます。

その項目のひとつとして
家族歴(家族の病歴)があると思います。

家族歴は遺伝や生活環境の影響よって
発症する疾患について判断するために
情報提供するものです。

 

私が発症したクローン病は
遺伝性疾患ではないと言われていますが

病気にかかっていない方と比較すると
かかっている家族のほうが発症しやすい
病気とも言われています。

世代を越えて引き継がれる
病気があるというのは
一体どういうことなのでしょう。

 

DNAは日々変化している

1865年頃、
オーストリアの生物学者、
グレゴール・ヨハン・メンデルは

生物個体の特徴が“独立した単位”で
親から子へと受け継がれることを
発見しました。

今日ではこれを“遺伝子”と呼び
DNAの一部として知られています。

ヒトの細胞核には
23組46本の染色体があります。

その中にDNAが折りたたまれて存在し、
DNAの文字列に表された遺伝情報すべての
ことを“ゲノム”といいます。

DNAには塩基と呼ばれる
基本の構造単位が存在し、
約32億もの単位で構成されます。

その中の一部として約23,000個の
遺伝子が含まれているのです。

 

遺伝性と言われる病気は、
遺伝子の変異を原因として
発症するといわれています。

遺伝子の変異が起こる要因として

・化学物質
・放射線
・活性酸素

などが挙げられますが、

細胞にはDNA損傷を修復する機能があり
1日に1万~100万箇所のDNA損傷を
修復することでヒトの体は保たれています。

つまり、
私たちの生活環境の変化によっても
DNAは常に影響を受けていることに
なるのです。

 

遺伝子は解明されつつある

「ヒトゲノム計画」を
ご存知でしょうか。

1990年にアメリカで発足され、
日本を含む諸外国の協力体制により
ヒトゲノムの解読が進められました。

13年後の2003年、
ヒトゲノム(遺伝情報)の解読を
完了したと宣言されました。

今日、ヒトのDNA配列情報は
データベースに蓄積され、
医学などの分野で活用されています。

 

遺伝情報の活用事例として
「がんゲノム医療」があります。

がんゲノム医療は、
がんが発生した臓器ではなく

がんの原因となる遺伝子の変化に
基づいて治療を行うものです。

同じ種類のがん患者であっても
変化している遺伝子が異なれば、

治療薬の効果や副作用も異なる
可能性があります。

その逆に、
違う種類のがん患者であっても

遺伝子の変化が同じであれば
同じ治療薬が効果を示す可能性が
あります。

遺伝子情報をもとに治療を進める
従来とは大きく異なる治療法です。 

このことにより、
ヒトが病気になる遺伝的要素を分析し
病気の予防・早期診断に貢献できると
考えられています。

 

病気の発症には至らないものの
健康な状態から離れつつある状態を
東洋医学では“未病”といいますが、

遺伝子情報の解析によって、
この未病の状態を診断することが
出来るようになるかもしれないのです。

 

 

ゲノム医療は根本治療になるか

ヒトのDNA配列情報は
解明されたといわれますが、

ヒトゲノムの約98%は
その機能を解明できていない遺伝子
から構成されています。

-免疫-STEP6で少し触れましたが
“エピジェネティクス”も遺伝子の機能を
決定する要素のひとつといえます。

遺伝子の機能の解析が進めば
根本的な難病治療に光が差すことも
夢でなくなるかもしれません。

ゲノム医療が適切に活用され
多くの患者を救う手段であることを
切に願っています。

 


 

いかがでしたでしょうか?

現代医療は遺伝子という
未知の領域に突入しました。

まさにヒトの起源ともいえる
領域に足を踏み入れたともいえます。

しかし、
ゲノム医療を進めるにあたって、
“倫理的な課題”にも直面しています。

これは
次世代にも直結することで
十分な議論の余地があるものです。

次回、STEP.8は
医療ゲノムが難病を創る未来
をテーマにお話しします。

 

今回のお話は以上です。

最後までお付き合いいただき
誠にありがとうございました!